熱湯・ガスバーナーなどで猫を虐待死

2017/08/31

熱湯をかけるなどして猫を殺したとして、警視庁は、さいたま市見沼区御蔵の税理士を動物愛護法違反の疑いで逮捕したと8月29日に発表した。

熱湯やガスバーナーで猫殺した疑い 動画で通報、男逮捕(朝日新聞デジタルニュース2017.8.29)

記事には「捕獲器に猫を閉じ込め、熱湯を浴びせたり、ガスバーナーで焼いたりして殺したというもの。」とあるが、実際の行為は文字から想像するよりもずっと残酷だ。

逃げられないよう捕獲器に閉じ込めた猫に少量ずつ数回に分けて熱湯をかけ、爆竹、ガスバーナーなども使用された。ほとんど動けなくなったところで捕獲器から出され、肛門からの水注入、歯の切断なども行われている。十数分にわたり拷問が繰り返される動画もある。

 

事件の概要

掲載する写真は動画共有サイトにアップロードされた動画からキャプチャーした画像だ。
2016年3月から2017年6月にかけて、この容疑者のものと思われる猫の虐待動画は計10本、動画共有サイトに投稿された。

*ここから画像が挿入されるため、見たくない方はこちら

 

 

 

 

 

1本目(47秒)
2016.3.25に投稿

捕獲器に閉じ込められた猫に熱湯がかけられた。熱湯をかけられた猫の背中の一部の皮は剥げ、むき出しになった。

2本目(4分)
2016.4.18に投稿

捕獲器に閉じ込められた猫に5回にわたり熱湯がかけられた。虐待者が熱湯の入った鍋をもって近づいてくるたびに猫は虐待者を威嚇し抗議の声を上げるが、5回目の後では激しい呼吸を繰り返し横たわったままになった。

3本目(1分3秒)
2016.6.5に投稿

熱湯で満たしたペール缶の中に、猫を浸けたり出したりと繰り返された。動画の終わりには動けなくなった。

4本目(5分)
2016.6.5に投稿

捕獲器に閉じ込められた猫に8回にわたり熱湯がかけられた。虐待者が近づいてくるたびに這って逃げようとしていたが、動画の終わりには、激しい呼吸を繰り返し横たわったままになった。

5本目(7分30秒)
2016.11.22に投稿

少しずつ熱湯をかけられるよう鍋ではなくひしゃくが使用された。11回にわたり熱湯がかけられ、弱ったところに顔に集中して熱湯がかけられた。最後にはまったく動かなくなった。

6本目(11分1秒)
2017.1.15に投稿

爆竹がケージの中に投げ入れられ、その後9回にわたり熱湯がかけられた。荒い息を繰り返しほとんど動けなくなったところでケージから出されて、肛門からの水の注入、歯の切断が行われた。動画の最後にはまったく動かなくなった。


カメラに収まりやすいようケージの位置を直している

7本目-10本目

ここからは残酷性がさらに高いため、キャプチャー画像は掲載しない。7本目からは熱湯と同時にガスバーナーが使用されるようになり、さらにエスカレートする。弱って動けなくなったところで、目や足裏、肛門などを集中的にガスバーナーであぶる、などの拷問が繰り返された。

 

二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金

目をそむけたくなる虐待の内容を記したのは、罪に対して罰が見合っているかという問題提起をしたいためだ。
これだけのことをやっても、動物愛護管理法ではもっとも重くて「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」にしかならない。二年以下なので執行猶予がつくことさえある。
刑法では「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。」とされているからだ。

実際に2011年、里親サイトから仔猫を貰いうけ虐待、虐殺を繰り返した男は懲役3年、執行猶予5年という判決を受けている*が、執行猶予がつくということは刑務所に入らなくてよいということを意味する。

罪を重くすれば犯罪が減るなどという単純な問題ではないだろう。
しかしどんな判決になろうとも、もっとも重くて「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」なのだ。このレベルの罰則で本当に動物を守ることができるのだろうか。


2ちゃんねるには動物虐待を楽しむ掲示板「生き物苦手@2ch掲示板」が存在する。この掲示板の中で、これまでこの容疑者のものと思われる動画がすべて共有されてきた。投稿された虐待動画をみなで「賞賛」し「次はこんな動画を頼む」などとリクエストし、動画の回数を追うごとに拷問の内容はエスカレートしていった。
動物の命が軽んぜられ、一年以上にわたりこのような拷問動画が10本もインターネットで共有されるのを許してしまったのは、今の動物愛護管理法が動物を守る抑止力として十分ではないということの表れだといえるのではないか。


2018年は5年に一度の動物愛護管理法改正だ。
現在、法改正に向けた署名を集めている。
人間から動物を守ることのできる、実行力のある法改正になるよう、署名へご協力をお願いしたい。

 

動物愛護管理法改正の署名

 

 

2ちゃんねる-幇助罪

この容疑者のものと思われる動画は10本とも、2ちゃんねるの動物虐待を楽しむ掲示板「生き物苦手@2ch掲示板」で共有された。
この動画は回を追うにつれて虐待の内容がエスカレートしていったが、その原因のひとつにこの掲示板がある。
今回逮捕された容疑者の撮影したと思われる1本目の動画は、2016.3.25に「生き物苦手@2ch掲示板」に投稿され、10本目のものは2017.6.24に投稿されている。
この間、容疑者の投稿した動画に対して「すばらしい」「こういった(虐待)方法をしてほしい」「次の動画が楽しみ」などのコメントがつき、はじめは熱湯だけが使用されていたものがエスカレートし、ガスバーナーやペンチなども使用されるに至っている。こういった犯行をあおった人々も幇助罪が適用される可能性もある。

アニマルライツセンターは2ちゃんねるの管理・運営者に動物虐待を助長する「生き物苦手@2ch掲示板」の閉鎖を求めるとともに、今後このような掲示板が作成された際速やかに削除できる監視体制を整えることを要望していく。

 

執行猶予のつかない懲役刑を

今回の容疑者に対して(執行猶予のつかない)懲役刑の実刑を求める署名が立ち上がっている。

https://goo.gl/Dnf3jA


この容疑者は逮捕→送検され、これから起訴か不起訴かが決まる。起訴されれば裁判が行われ法廷で判決が下されることになる。

2016年の法務省の検察統計によると、動物愛護管理法の被疑事件114件のうち33件が起訴、57件が不起訴となっている(残り24件は「ほかの検察庁に送致」)。
33件の起訴のうち「公判請求」は4件、「略式命令請求」は29件
57件の不起訴のうち「起訴猶予」は48件、「嫌疑不十分」は8件、「心神喪失」は1件**。

不起訴の理由の多くが「起訴猶予」だが、今回の事件は"本人が深く反省している"などの理由で起訴猶予としないよう、きちんと起訴してほしい。また、起訴されても罰金のみで済ませる「略式命令請求(略式起訴)」になってしまう事例も多いが、これは略式命令罰金で済ませられる事件ではない。公判請求(起訴)が相当の犯罪だ。アニマルライツセンターは9月5日に、東京地方検察庁へ本事案について厳罰を求める嘆願書を送った。

追記:2017年9月15日起訴。『地検は「犯行態様などを考慮し、過去の事例との比較もした上で、公開の裁判で罪に問うのが相当と判断した」と説明している。』朝日新聞WEBニュースより)

2017年9月19日 東京地方裁判所に執行猶予なしの懲役刑を求める嘆願書を発送。
これまで、動物愛護管理法違反の裁判の場合、執行猶予がついてきた。しかし今後こういった残虐な犯罪を防ぐためには、執行猶予なしの懲役刑という先例を作っておくべきだと思う。

そして犯人には服役して、命の尊厳とは何なのかということをしっかり考えてもらいたい。自分の犯した罪の重さを自覚してほしい。私たちと同じように動物も感受性があり、喜び、苦悩する。人間の命と同じように、動物の命もかけがえがないのだ。

 

*傍聴時の書き取り記録 /裁判所名:横浜地方裁判所 川崎支部 刑事部/日時:2012年5月23日/事件名:動物の愛護及び管理に関する法律違反、詐欺/事件番号:平成23年(わ)第589号等http://nijinyanko.homepagelife.jp/saiban.html

**参照:罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001189603 被疑事件の件数に含まれているのは動物虐待、殺傷罪の44条だけではありません。そのほかの罰則(動物取扱業関係など)も含まれています。