殺処分方法に関するアンケート 2008

1970/01/11

 

行政で行われる犬猫の殺処分の処分方法の改善を求めています。殺処分数が0になることが最終的な目標ではありますが、それまでの間にどれだけの動物が苦しみの中で殺されるのでしょうか。殺される動物たちの大半は、その処分施設にたどり着くまでの人生も決して幸せなものではなかったはずなのに、最後まで安らかには死ねないのです。その動物が望んで死ぬわけではないので安楽死と言う言葉にはならなくとも、苦しみを最大限取り除いた方法で殺すのが当然なはずなのです。
日本の社会は発展しているように見えますが、動物の扱い、殺し方を見る限りでは、倫理的・人道的な社会とはいえません。また、動物の処分方法の改善は、そこで職務を遂行している行政の方の人権の擁護にも繋がると考えています。動物の苦痛とおよび働く人の精神的苦痛を減らす方法への返還を求めています。
現状の方法に甘んじるのではなく、また、行政におしつけるのではなく、全員が向き合っていかなくてはならない問題です。明日殺される動物が現実に存在しており、その動物を殺さなくてはならない人がいるのですから・・・。

各自治体へのアンケート実施

 

日々のご公務にご尽力いただいておりますこと、厚く感謝申し上げます。私たちは、人と動物たちが穏やかに共存できる社会を目指して活動している市民団体です。
 
さて、昨今、自治体による適正飼養へ向けたさまざまな取り組みや民間動物愛護団体の地道な不妊・去勢手術の啓蒙活動等が実を結び、特に犬の殺処分数が全国的に大きく減少傾向にあることはご承知のとおりです。現在も多くの自治体で行われている炭酸ガスが導入された当時の処分頭数と比較すれば、隔世の感を覚えるほどです。しかし、適正飼養がすべての国民により遵守されること、即ち殺処分ゼロへの道のりは大変険しく、皆様方と同様、日々の現場で無責任な飼い主と接している私たちもその困難さを痛感しております。
 
人間の身勝手な理由で、不幸にも死を強いられる動物たちの最期の苦痛は、せめて極力少なくしたい――。こうした思いから、私たちは、自治体による殺処分方法の見直しを求めたいと思っております。貴施設における殺処分方法は、国が出した「動物の処分方法に関する指針」(以下、指針)に基づいて行われていることは承知しておりますが、殺処分の圧倒的多数を占める犬の頭数が順調に減少している昨今においては、現行処分法の見直し――さらなる改善ができる段階に来ているのではないかと考えます。指針の一般原則の中でも、「社会の変化に応じて動物観は変わるものであり、処分方法は獣医学の進展と共に進歩していくものである……もし十分な理由がある場合は、この指針の解説に記述されていない別の(新しい)処分方法を適用すべき」との記述があります。今後新たに建設が予定されている自治体の施設では、炭酸ガスを用いない処分方法が導入または検討されている現状からも、処分方法の見直しは実現可能な域に入ってきております。
つきましては、今回、簡単なアンケートを送付させていただきました。私どもとしても、貴施設の現状を理解した上で、現実的な改善へ向けて共に努力していきたいと願っておりますので、ご多忙のところ大変恐縮ではありますが、ぜひご回答いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 
なお、指針の「第3 処分動物の処分方法」として、「処分動物の処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること」とありますが、先般、私どもがある自治体の処分施設(炭酸ガス単体)を見学した限りでは、大変残念なことに、意識の喪失が見られる前に苦悶(呼吸困難によるあえぎ・痙攣等)の様子が数分間にわたって観察されました。現在、世界的に安楽死としてコンセンサスが得られている処分方法は、鎮静薬を投与後、意識喪失状態に陥らせてから麻酔薬等で致死させるものですが、日本の全施設が直ちにこれに倣うことは難しいと推察されます。しかし、現行の処分方法のままでも、一手間加えることで指針の理念により近づくことが可能です。私たちは、処分方法がガスであれ薬物であれ、意識の喪失が図られた後に行われることが、動物たちの最期の苦痛を軽減させる現実的な改善であると考えております。
この実現に関しまして、現場の皆様方から、ご意見・ご助言等をいただければ大変幸いに存じますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

 

【犬猫の処分方法に関するアンケート】

Q1 殺処分方法をお教えください。
Q2 Q1で炭酸ガスの充填を選択した場合
Q2-A ガス暴露チャンバーの一回の平均収容頭数をお教えください。
Q2-B ガス暴露チャンバーの大きさをお教えください。
Q2-C ガス暴露チャンバーへの動物の移動方法 (例 オートメーション 個別に移動させる)
Q3 Q1で薬殺を選択した場合、薬剤名・薬物の量・投与方法をお教えください。
薬剤名・薬物の量・投与方法
Q4 子犬・子猫の処分方法は違う場合、その方法を詳しくお教えください。
Q5 動物の引き取りは有料ですか?有料の場合、値段をお教えください。有料の場合、どのような部分に生かされていますか?
Q6 動物の保管期間をお教えください。(例外などもありましたらお教えください。)
Q7 年間処分頭数についてお教えください。 
(単位 頭)
Q8現行の致死処分方法の前に麻酔薬か睡眠薬を投与して、意識喪失に陥らせた後に処分する方法に変更する計画・可能性はありますか。
Q9 Q8で可能性が低いと答えた場合、変更できない一番のネックはなんでしょうか。
Q10 貴施設を公開していただけますか。いいえの場合、その理由をお教えください。
 
Q11 ”動物たちの意識の喪失が図られた後に致死に至ったとは思えない”というのが、私どもを含めて、今まで処分施設(炭酸ガス単体)を見学したことがある人たちの素直な感想です。
なかなか処分施設を公開していただけないため、サンプルが少ないという問題点はありますが、貴施設におかれましてはこの点はいかがお考えでしょうか。
 

 

 

アンケート結果

現在薬殺処分を行っている自治体はいくつかありましたが、福井県について検証します。
塩酸ケタミン サクシニルコリンクロライドで薬殺処分を行っています。最終処分数は犬が505頭、ネコが1268頭と、処分頭数も低くなっています。平成11年の福井県の犬の処分数が3,916頭と大幅に減少しています。(ネコは911頭から増減を繰り返しています)
平成18年4月1日から引き取りも有料化されています。
とくに動物愛護センターがあるわけではないが、動物愛護教室や譲渡会(月2回開催)など積極的に行われています。(逆に大きな愛護センターを持っている自治体は処分方法の改善の可能性が低いケースが多いようです。)
 
処分方法の見直しの可能性があると回答した自治体は、
岩手県・神奈川県・岐阜県・大阪府・大阪市・さいたま市・堺市・岐阜市・熊本市・長崎市・横須賀市・函館市
でした。しかし、Q11に対し、このうち岩手県・神奈川県・大阪府・大阪市は、動物の処分方法に関する指針の解説(内閣総理大臣官房管理室監修)に示された方法であることを挙げ現行の方法(炭酸ガス処分)を擁護する旨が回答に含まれていました。ただし、環境省が指針として炭酸ガスを擁護している以上、このことをアンケートへの回答として各行政の姿勢として主張することはごく自然なことではあります。
 
 
一方で柔軟な回答もあります。
岐阜県「動物の処分方法に関する指針の解説(内閣総理大臣官房管理室監修)に示された方法なので適切と考えるが
すべての固体が意識の喪失が図られた後に致死に至ったかどうかは確認できないと考える。」
さいたま市「今後は注射による処分の他、睡眠薬を投与後の炭酸ガス処分も考えていく。」
堺市「致死処分方法については、動物の安楽死方法に関する研究や社会通念等を参考にし、適切な方法を採用するように努めて参ります。」
その他の自治体は、処分する方法の変更の可能性は低い、検討したことがないもしくは無回答と言う結果になりました。

 

 

 

常に「炭酸ガスによる致死処分については、安楽死の方法のひとつとして認められている」と多くの自治体は回答します。
社会の変化や、獣医学の進展とともに方法が変わることを予測し、指針自体には具体的な処分方法を記述していませんが、炭酸ガス処分を行政が「安楽死」と呼ぶ、獣医学的根拠となっているのが、社団法人 日本獣医師会の出しているその解説です。

 

動物の処分方法に関する指針
第3 処分動物の処分方法
処分動物の処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認させている通常の方法によること。
動物の処分方法に関する指針の解説 抜粋
炭酸ガス(CO2)
炭酸ガスは空気中に0.04%含まれており、その高濃度の吸入による麻酔効果はよく確かめられている。
犬、猫の安楽死用に広く用いられ、また、食肉用の豚のと殺前の麻酔用としても使用されはじめている。(3 愛がん動物(行政)、6 産業動物の項参照)。
炭酸ガスは30%~40%濃度でもほとんど無臭で、動物でも関知し得ない。1~2分で鎮静状態となり、数分で呼吸停止、心停止にいたり死亡する。もがき、嘔吐などの副作用が見られることがある。
 
・利点
 (1)短時間で沈静、麻酔効果が得られる、(2)ボンベ入り、又はドライアイスとして固体で購入できる、(3)低廉で不燃性、非爆発性、用法を誤らなければ人体にも危険はほとんどない。
 
・欠点
 (1)炭酸ガスは空気より重いので、充満した密閉ゲージ内では、背の高い動物や、上に登る動物は効果発現が遅れることがある、(2)子犬、子猫のように幼若な動物、ハムスターのように冬眠する動物では、死亡するまでの時間が長引く。
 
・使用上の注意点
 (1)昏睡、無痛覚に至る前に酸素欠乏による不快な動作(口をパクパク開ける)をなくすためには、30%程度の酸素(O2)を加えるとよい、(2)ドライアイスを使用する際には、動物に直接触れないようにし、凍えたり、冷えたりしないようにする。
 

 

しかし、「動物の処分方法に関する指針の解説(内閣総理大臣官房管理室監修)に示された方法なので適切と考えるがすべての固体が意識の喪失が図られた後に致死に至ったかどうかは確認できないと考える。」(岐阜県)と回答しているところもある。事実、一頭一頭の個体差を把握し二酸化炭素の充填速度と濃度調整を完璧に行った場合、意識の喪失が事前に起こることは考えられるが、処分業務を行う担当職員全てがそのような技術を習得しているとは考えにくい。一部の動物において意識を先に喪失している可能性もまれにあるということで、全ての動物にその方法を適用するのはあまりに乱暴である。
世界的にも、日本の国民の意識に照らし合わせても、二酸化炭素のみでの殺処分は最善の方法でないことは明らかである。
麻酔薬を事前投与し、意識喪失を確認したうえで致死量のサクシン投与なり二酸化炭素充填を行うことは十分に可能である。そうしている自治体もあり、また犬に関しては殺処分される数も10年前に比べれば半分以上減少している。
今はもう21世紀。かつての論文や昔のやり方に頼り続けるのではなく、より良い方法を模索し続け、採用すべきである。大阪府堺市の「致死処分方法については、動物の安楽死方法に関する研究や社会通念等を参考にし、適切な方法を採用するように努めて参ります。」という回答のとおりである。
「動物の愛護及び管理に関する法律の第五章 雑則 
(動物を殺す場合の方法) 
第四十条  動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。」のなかの「できる限りその動物に苦痛を与えない方法」はもはや炭酸ガス充填ではない。方法はすでにたくさんある。
 
方法1 ケタミンなどの麻酔薬の注射後、致死量のサクシンを投与(ケタミンが麻薬指定になったことで麻薬取扱者免許を取得する必要があるが、申請資格をそもそも持っている獣医師であれば問題なく取得できる模様)
 
方法2 イソフルラン(気化麻酔)で意識喪失後、炭酸ガスを充填

方法2イソフルラン(気化麻酔)で意識喪失後、炭酸ガスを充填についての調査レポート

アライグマ処分方法の犬猫への転用は可能か?

 

2007年2月
処分現場の見学
大阪府羽曳野市およびその装置を開発したK社の動物動物処置装置を見学しました。(全国初のイソフルラン(麻酔ガス)による意識喪失後、炭酸ガスで致死に至らしめる方法※1)
処分作業自体は見学できませんでしたが、K社の方の証言と、現場獣医師の証言によると、2~3分で眠り、その後の炭酸ガス注入時にも苦しむ様子は見られないとのこと。
また、イソフルランは、動物病院での犬猫の手術時の麻酔としても使用されていることから、その効果は確かのものと考えられます。
現状の炭酸ガス単体での処分では処分実施者の知識を技術がかなり高度でないと動物の苦痛が増大するというものであるのに比べ、この機械では麻酔や炭酸ガスの濃度等の調整が精密なコンピューターで制御されており、ある一定の福祉は必ず確保できると思われます。さらに、大阪府では、アライグマを1頭1頭麻酔の効き具合などを観察しながら処分を行っており、(本来機械には3頭が一度に処分可能)より福祉的処分方法といえます。
問題点
イソフルランの事前暴露というこの方法は既存のガスチャンバーをそのまま使用できる可能性があるため、犬猫への転用にかなり期待が持てる。しかし、イソフルランの費用は現状の炭酸ガス単体に比べると大幅にかかってしまう。
解決法
イソフルランの回収、再利用が出来れば、コスト的にも見合うのだが、現状ではその設計が大変難しく、K社にて引き続き研究中である。この結果しだいで、アンケートで感触の良かった自治体に導入を検討してもらうよう、積極的にアプローチをしていきたい。
※1 動物処置装置について
この装置は特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき行われるアライグマの殺処分(環境省は防除と言う言葉を使用します)を行う際に、最低限の動物福祉を確保するために開発された機械です。多くの働きかけによって大阪府が最初に導入し、その後和歌山県など近畿地方を中心に導入され始めています。その他の地域では炭酸ガスであったりまたは処分方法が全く把握されていない状態です。殺処分自体外来生物問題の根本解決には全くならず、反対の立場ですが、他の地域においても早急な導入が望まれます。福祉的殺処分方法の導入は、私たちアニマルライツ団体ではなく、防除を推進する団体や行政が事前におこなっておくべきものであるす。

動物処置装置の犬猫への転用

 

まず、イソフルランという薬剤についてですが、この麻酔は近年安全な吸入麻酔薬として動物病院での手術時に一般的に使われている気化麻酔で、人体への影響もなく、また動物病院での安楽死もイソフルラン吸入により、意識を喪失させ、ペントバルビタール静脈注射で心肺機能抑制及び致死という方法がとられている。導入しやすい、副作用、心肺抑制が少ないなどの理由で多く採用されており、動物にとって苦痛が少ないと考えられます。
また、ARC協力獣医のチロとサクラのクリニック渡辺先生によると、以前アライグマの不妊手術にイソフルランを用いたところ、犬と変わらない麻酔効果があったとのことです。ネコも同じ使用量です。犬猫とアライグマでの量的な差はないと考えてもよいでしょう。
この機械のデメリットは、レポートでもあるように薬剤のコストです。それ以外については、人間に直接触れられることがないため、そのストレスは注射方式よりも優れていると思われます。また、機械による制御であるので、個人の能力に依存することなく一定の福祉は保たれます。現状の殺処分数を考えると、この機械の導入を行ったほうがより福祉的である可能性もあります。
また、注射でじかに動物に触れながらおこなうよりも、人間側の精神的負担も少ないそうです。
一つの命を奪うのであるから、費用がかかるのは当然のことと考えて予算が下りることが理想ではありますが、実現性を考えれば、イソフルランのリサイクルを行うことができるようになることが早道であると思われます。

 

動物処置装置で現在問題になっているのがコストですが、現在、多くの自治体で動物の飼い主からの引き取りを有料化しています。
有料化することで遺棄される動物が増えるのではないかという懸念をもち、まだ無料の自治体もありますが、有料化したことで遺棄が増加するということはあまりないようです。(そもそも遺棄は犯罪です)
一頭あたりの金額は動物種や自治体によって様々ですが、この回収されたお金の使い方もまた、自治体によって様々なようです。
動物行政にそのまま費やされる場合もあれば、一般財源としてみなされる自治体もあります。
私たちは、当然、動物の引取りによって生まれたものなのだから、そこで殺処分される動物のために使われるべきであると思います。
犬の場合捕獲があるため、すべてまかなえるのかどうかはわかりませんが、イソフルランのリサイクルができなくても、薬剤の費用はある程度捻出できるはずではないでしょうか。
 
また、現在成犬成猫であれば1,000~2,000円程度である引取り料金ですが、飼い主は自分ではできないからと殺処分を行政に依頼するのですから(動物病院に持ち込むこともできるのです)、この費用はもっと高額でいいとも思います。そもそもなぜ子犬子猫の場合数百円と言う小額なのでしょうか。同じ命で同じように殺すわけですから同額でいいと思います。子犬子猫も成犬成猫と同額にすれば、何度も生ませては持ち込む「リピーター」も不妊去勢を行った方が得であることに気が付くはずです。
 

あなたにできること=あなたにしかできないこと

住まいの地域の行政(衛生課や保健所や動物愛護(保護・処分)センター)に、あなたの意見を届けてください。

行政は市民の声がなければ動きません!

要望して欲しい内容

 

  • 殺処分方法を確認し、改善を要望してください。
  • 動物の引取りが無料である場合は、有料化を要望してください。
  • 動物の引取りが有料である場合は、引き取り料金の値上げを要望してください。
  • 犬猫の譲渡をもっと行うように要望して下さい。
  • 成犬成猫の譲渡も積極的に行うよう、要望してください。
  • 殺処分施設と処分現場の見学を要望してください。
 

 

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