事例1:町田市 O獣医師 金銭トラブル

1970/01/01

この事件は1997年7月初旬に発生した。Kさんの飼い犬シーズのm号の様子がおかしいので近所の動物病院へ連れて行った。ここから「あまり思い出したくもない4日間の出来事」が始まった。最初の診断は、体温計についた便を顕微鏡で覗いてみたら血球が見つかったので、ウィルス性の伝染病の可能性が高い、というもの。
 以降、2ー5時間間隔での通院を求められ4日間に合計18回の診断を受ける。支払った治療費合計は268000円に達した。
「助かる見込みは極わずか、1%以下」という最終段階で入院設備のある他のS動物病院に連れて行ったところ、「どこも悪いところはない」との診断を受けた。そこで、念のため行った血液・生化学スクリーニング検査でも全く正常であることが確認された、という。
O獣医にそのまま通っていたら、m号の命はきっとなかったろう。このm号は、今、元気にKさん一家とともに生存しています。

あまりのことに、Kさんは獣医師会や市の消費者センターや財団・社団法人などの動物愛護団体などに連絡し相談をしました。いずれも話は聞いてくれたが、対応はしていただけなかった、とのことで、電話帳で私たちを見つけ連絡してきたのです。
 Kさんの求めることは、何よりも第一に、このような悪質な、作為的な誤診察行為は動物たちのいのちを奪う行為につながり、放置しておくことができない、ということでした。第二に過去の同様な事例が相当数存在しているはずであり、それらを発掘し、また、今回の具体的な事実関係を明らかにすることで、類似行為をやめさせる一助にしたい、ということであり、第三に支払った治療費の返還と飼い主に与えた損害を償ってもらうこと、の3つでした。 

弁護士側で、いろんな判例・法令の検討をし、同時に、転院した際のS動物病院の協力内容などを考慮し、まず、10月初旬、以下の「通知書」を内容証明郵便で送付する事から始めた。
これに対し、O動物病院は、長々しい弁明の手紙を弁護士事務所宛に回答してきたのです。 ここで、文面に表現されていないことで、特に付け加えておきたいこととして、
Kさんは、
①注射は何度も行われたが、一度も飲み薬などの投薬はなされなかったこと、
②O動物病院はいつも内側から鍵をかけ電話予約者以外のうけいれないはしなかったこと、
③この18回の通院期間中、他の通院者をただの一度も見なかったこと、
④Kさん自身、不覚なことに、通院期間中はもちろん、それ以前も、M号の平常体温(38.5~39.0度)を知らず、また、自ら測定したことがなかったこと、
⑤いつもちょっとでもおかしいと思ったら、すぐにくるように、と何度も念をおされたこと などをあげています。

<弁護士からの通知書の概略>

ーーO動物病院からの名誉毀損等に配慮して固有名詞は略号としましたーー
通 知 書
 前略 当職は、通知人Kの依頼により、貴殿に対し次のとおり通知します。
 即ち、通知人Kは、飼育するシーズー犬「m」(2歳)が衰弱等の症状を有していたため、平成9年7月○○日、貴殿の診察を受 けたところ、貴殿は「体温計についた便を顕微鏡で観察したところ血球が発見された、脱水症状もひどいのでウィルス感染による伝 染病の疑いが高い」旨説明して、脱水症状緩和のためとジステンパー用のワクチンの各注射を施術されました。
 貴殿は、初診時を含めて、初日2回、二日目4回、三日目6回、四日目5回、五日目1回、とわずか五日間に18回もの診察・診 療を実施し、その治療費は合計268,000円にも達しています。

 しかも、この間、貴殿は通知人に対し、m号の疾病名や必要な治療の内容、注射する薬剤の効能・効果等を十分に説明することな く、各回ごとに3.4本、多いときには5,6本もの注射を施術しております。
いうまでもなく、通知人は医療には全く知識がなく、 貴殿の診療を信用するしかないために貴殿の施術を全面的に受け入れていたのですが、4日目に貴殿から絶望的な見込みであること を知らされたことから、翌日(5日目)に入院設備のある他の病院で診察を受けたところ、軽度の脱水及び貧血と白血球の微増が見 られた程度でほぼ正常な状態にあることが判明しました。

 そのため、通知人は貴殿が行った診察・診療は、当初から全くの誤診であり治療の必要性もないのに頻回の施術が行われた可能性 が高いと考えております。
そこで、通知人は、貴殿に対し、本書面到着後2週間以内に、「m」の初診時の所見、その後の症状の推 移、各種検査の結果、治療の内容等を診療簿を添付して書面で説明するか、或いは支払済みの治療費268,000円を返還するよ う請求します。
期限内に適切な説明及び診療簿の交付がなく、また、治療費の返還にも応じていただけない場合には、法的措置を とる用意があることを念のため、申し添えます。右用件のみにて失礼します。         早々
1997年10月 

東京都○区○○ー○○ 通知人 K代理人 弁護士 ○○△△
東京都○○市○○  被通知人 O動物病院 ▲▲▽▽ 殿


Kさんの7月初旬のメモ書き


初日

(金額は支払った料金)





¥10000




¥ 6000

2日目 





¥10500







¥16000




¥10000



 

¥18000



¥18000

3日目



¥18000




¥18000







¥18000



¥18000



¥18000





4日目





¥18000






¥18000





¥18000





¥18000


5日目



¥18000

O動物病院の返書
<初回>pm12:30~pm2:00
体重測定、体温測定
聴診器による心音検査
血液検査・・結果表等なし、フィラリアの心配なし
便の検査・・体温計についた便を顕微鏡で見て、血球が見つかった、とのこと

症状の所見:総合的に見て脱水症状がひどく、血便がでているので、ウィルス感染による伝染病の可能性が高い。脱水症状緩和のための注射とジステンバーのワクチン注射を受ける

<2回目>pm7:30~pm9:30
聴診器による心音検査・体温測定
注射2本、1本は脱水症状緩和剤、あとの1本は説明なし。
これから熱が上がり血便等が見られるだろう、どうもパルボの疑いがある。明日9:00に来院するように。

<3回目>am9:00~am10:00
体温測定、朝は食事も水も飲んだと報告。
夕べから熱が上がってきたというと、これからもっと上がってひどく
なるが、処置が早かったので助けられる。ただ、脱水症状がひどいので注射を増やすとのこと。食事、水など、腸に負担がかからないようにしていくよう説明を受ける。様子が変だったらすぐ連絡する様に、とのこと。処置:注射3本。(説明なし)

<4回目>pm12:30~pm1:30
熱が高いので電話すると、氷のうの作り方を教えるのでビニール袋、氷、塩を用意して来院するように、との指示。
・聴診器による心音検査・・心音がかなり弱っているとのコメント
・注射で解熱することもできるが、心臓に負担をかけるのでやらない、 との説明。外から氷のうをあてる。注射4本
 この頃、助かる見込みは5分5分の様な言い方

<5回目>pm3:30~pm4:30 母と一緒
治療内容は前回と同じ。
母が一緒だったので、いろいろな話をする。自分が書いた本を是非読むように、と本の名前などを書かされる。注射4本

<6回目>pm6:30~pm8:30 子供と一緒
治療内容は同じ。
子供に宇宙開発の仕事もしていることなどを話す。次は9時に来院するようにいい、30分しか時間がないので犬は預かる、その間に食事をしてくるように言われる。注射5~6本(注射の量増える)

<7回目>pm9:00~pm11:00 子供と一緒
治療内容は同じ。氷のうで冷やす。
注射5本。熱が高いのでハアハア苦しそうになったら夜中でも来院するように、との指示。

<8回目>am1:30~am2:30
母が看病していて様子がおかしい、というので通院。
本。再度、助かると良いがやはり五分五分と説明。パルボの可能性が高い、と。治療内容は同じ。脱水症状がひどいので薬を増やす、とのこと。注射6本

<9回目>am4:00~am6:00
 母に起こされ、通院。犬の具合はとても悪い、早め早めに処置しているのでもっているが、いつ死んでもおかしくない状態といわれる。
注射5本 注射で命を取り留めている、とも言う。

<10回目>am9:00~am10:00 母だけで通院
9時頃、犬は少し元気になり、ソーセージ1本食べるが、水は相変わらず飲まない。
治療内容は同じ。氷のうで冷やし、注射5本。
少し元気になったというが、この病気は良くなったように見えてもまた悪くなると説明。自分は出かけるので次は1時、5時30分に来院するように、とのこと

<11回目>pm1:00~pm2:00 母だけで通院
治療内容は同じ。発熱がまた始まる。心臓が弱って肺も疲れているし、いつ逝ってもおかしくない、やはり、五分五分だ、との言。注射5本

<12回目>pm5:30~pm7:00 母だけで通院
治療内容は同じ。心臓が弱っているので絶対安静が必要。注射5本

<13回目>pm9:00~pm10:00 母だけで通院
治療内容は同じ。注射5本

<14回目>am3:00~am4:00 母と一緒に通院
 元気が少し出てきて、食欲が出る。ササミを一本ぐらい食べる。 
治療内容は同じ。熱が下がって食欲も出たというと、助かる可能性が出てきたね、といい、昨日、おとといはいつ死ぬかと心配だったと言われる。薬の量を増やす、とのこと。注射5本

<15回目>am6:00~am7:00 母と一緒に通院
治療内容は同じ。
たぶん、助けられると思うが、この状態はまだ1週間長いときは1ヶ月は続く、と言われる。注射5本 

<16回目>am11:30~am12:00 母だけで通院 
治療内容は同じ。
少し具合が良さそうだったが、帰ってくるとぐったりしていた。一生懸命治療しているし、家族も充分看病しているのでなくなっても悔いが残らないでしょう、と言われる。注射5本 

<17回目>pm5:30~pm6:30 母だけで通院 
治療内容は同じ。昼間は結構元気になっていた、熱も下がる。すっかり心臓が弱っている、との言。注射5本 

<18回目>pm8:00~pm9:00 母だけで通院 
治療内容は同じ。
ぐったりしている。再度発熱。いつ死んでもおかしくない状態。たぶん、12時頃に軽い発作が起きると思う。どんな小さなことも見逃さず、すぐに来院するように、との言。注射5本 

<19回目>am0:00~am1:00 母だけで通院 
治療内容は同じ。
パルボとジステンバーを併発している。助かる可能性は1%。もし、助かっても傷害が残る。ただ、私は安楽死の処置はとらないので最後まで治療する、とのこと。注射5本 
翌朝8時と11時に来院するように、との指示

<S動物病院へ入院処置のため通院> am9:00
 最終的に助かる可能性がごくわずか、ということで入院治療のできるS動物病院へつれていき、診察を受けたところ、どこも悪いところがなく、熱も下がっていた。血液・生化学スクリーニング検査をしたところ、異常は認められなかった。なお、なにが原因で発熱したかは今となっては調べようがない、とのことでした。
病名:出血性腸炎

原因:下痢、寄生虫、細菌、ウィルスの感染等によって腸管から出血(血便)する。出血部位によって血便の色が異なる

症状:下痢、血便、発熱、脱水等

死亡率が高い:下痢、血便、発熱、脱水等により体力の消費が多く死亡する。

治療内容:下痢・血便により脱水症となるので輸液による水分補給。食欲がないので栄養失調になるので栄養剤の補給。

 輸液や栄養剤だけでは不十分なため、犬に飼い主が強制給水と強制給餌をしなくてはならない。血便がでているので止血剤。出血が多くなると心臓に負担がかかるので強心剤で助ける。細菌やウィルスの感染に対して抗生剤(抗生物質)や生物学製剤(ワクチン)を使用する。発熱に対して氷のう(ビニール袋に氷・水を入れる)、アイスノン等で身体を冷やす、などの注意事項を説明し了解を得たので治療を始めた。

さらに症状は悪化した。チアノーゼも認められたため、生命の危険が大きいことを告げた。しかし、難しいけれど、努力すれば助かる見込みはあると話した。4回来院し治療した。

 40度5分以上の高熱が出た。そこで、氷で冷やすことを提案し、冷やし方を次のように指導した。 <中略> このように説明して自宅で氷のうを使用してもらう。

午前1時50分頃、電話があり、熱が高く呼吸状態が悪いので診て下さいとのことであった。午前2時にアイスノンと氷のうをもって病犬をつれて来院した。発熱は40度5分以上ある高熱で、病状はさらに悪化して全身状態が重症となっていた。呼吸器、循環器、貧血の状態が悪く、普通に治療したのではとても助からないほど悪い。しかし、病犬mは必死で助かろうとあえぎ苦痛をうったえている。飼い主の側も何とか助けようと一生懸命だったので、診療側は寝る間も惜しんでそれに応じた。ほぼ徹夜だった。

何と6回の来院でようやく40度台まで熱を押さえる ことができた。
ようやく生命の危機を越えたかに見えた。

午前3時20分頃、電話があり、呼吸がはやいので心 配だとのことで来院することになった。午前3時30 分頃の来院である。
 発熱は39度5分以上であるが、午前3時から6時 頃は人も動物も生理的に1日の内で最も体温が下がる ときである。それも氷のうを使用しているにもかかわ らず、この体温である。

 それにしても昨日より少し良くなってきた。そこで 飼い主へ少し良くなってきた。体温が下がり始めたの で氷のうのビニール袋へ氷5個+水とし、今まで5袋 使用していたが、これから3袋とし、東部、左右両側 の胸部に使用する。冷やしすぎでかぜをひかせるとい けないので、冷やしすぎないように注意して、自宅で も看病するように話す。
 一方、病犬の体力の問題があった。それは数日の高 熱続きの結果、過労で弱り始めたので心配した。

しかし、治療効果がようやくではじめ、次第にチアノ ーゼもとれはじめ、呼吸も正常に近い状態を示す様に なってきた。この日は5回の通院加療であった。
この日は、発熱は39度台であり、チアノーゼはなく、呼吸は正常になった。しかし、まだ少し貧血があり、体力は十分回復していない。この日は、1回の来院であった。

 その後、どうしたか案じていた。

Kさん最初のレポートの結びのコメント

 今から振り返ってみると、通院時間が長くあくと犬が元気になっていた様に思います。
 

S動物病院の話(kさんが聞いたもの)

 動物病院は、同業者として言いたくないが、ひどい獣医療行為を繰り返しているため、獣医師会から何度も勧告を受けている、とのことでした。>

ARCの立場の再確認

私たちは、いくつかの例外を除き、原則として動物をペットとして飼育することに賛成ではありません。人が他の人から支配されたり、隷属を強いられることが容認されないのと同様、人が他の動物たちを支配したり隷属させたりする関係自体に賛成できないからです。 
今日の、動物病院の乱立は、常軌を逸したペットブームと表裏一体の関係にあり、いずれもすみやかに終息に向かうことを強く希望しています。
さらに、飼い主に対しても、その動物への責任を追っているのは自分自身であることを再認識し、冷静に治療前・治療後説明を求めることや、預ける際のリスクの認知、動物にとってなにが一番よいのかの判断は自分が行うことなどを徹底してください。

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